急に立ち上がらず、左右揺身を7,8回してから―道元禅師『普勧坐禅儀』から
急に立ち上がると、ひどい眩暈(めまい)になることもある
以下は、道元禅師『普勧坐禅儀ふかんざぜんぎ』の井上義衍老師提唱録からの抜粋です。
「」内は、普勧坐禅儀原文です。
「若し座より立たば」、坐禅をしておられて、坐禅から立つ時分には、静かに立つということです。
それはどうしてかいいますと、皆さんによく経験がおありになるでしょ。
心が静まり、身体が静まって、静かになっておるときに、眠っておるときに、突然に。ゆさぶり起こされた。びっくりして起きた一日というものは、一日頭が痛いんです。
そういう風なことがありますから、結滞をしておる、血液が静かにおさまっておるのを突然にやりますというと、そこから突如として大きな動きをする、そういうことがありますので、都合によると倒れるということもある。
めまいがする。
種々雑多なことがおきますから、そこで立つ時分には、徐々として静かに、坐禅をやめる時分には、「細より粗に至る」とあるように、細かく体をゆさぶって、左右にゆさぶって、そうして[段々と]大きくゆさぶること七、八回して、結滞の様子を解いて、そして立つと。
それを「徐々として身を動かし、安詳あんしょうとして起つべし」、静かに気をつけて起つということです。
「卒暴なるべからず」、「倒れますよ」、こうあります。
―井上義衍老師『普勧坐禅儀提唱』p.33
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[ 管理人 ]
以前、川上雪担老師のサイトを拝読していましたら、雪担老師が、坐禅を終えてやおら立ち上がったところ、体調を崩し、しばらく不調だったと書いてある箇所がありました。
わたしは、「ふーん、そんなことがあるのか」と思っていましたら、
井上貫道老師が左右揺身をせよと仰っていたにも拘わらず、ある時、自宅で坐禅していた時に、左右揺身をせずに、急に立ち上がったところ、気分が悪くなりました。
気分が悪いと云っても、なんというんでしょうか、胃腸系とかの気分の悪さではなくて、頭的な気分の悪さでした。特に動くとそれがひどくなるのです。
治す方法はジッとしていること。坐禅をしていると調子が良くなります。
そんなことがありました。
それから、また別のときですが、坐禅会で禅堂に坐っていて、主催者側なので用事があったので、坐禅が終わってすぐに動こうとしたら、ひどい 眩暈(めまい)になりました。
あまりにひどいので、控室で横になろうとしたら、さらに悪化してグラグラと来て、吐いてしまいました。
頭位性(とういせい)眩暈と云って、横になったらいけないめまいだったのです。
それまで人生でめまいになったことは、上の自宅のやつを除いてありません。
原因は、坐禅が終わって急に動いたことしかありません。
坐禅が終わったら、すぐに立たず(慌てて)に左右揺身(さゆうようしん)必ずやらないといけないんですね。
左右揺身のあと、ペッタンコになった坐蒲(坐禅用の丸いクッション)を分厚くする時間もありますから、その動作も怠らなければ、急に立ち上がることにはなりませんから、大丈夫です。
皆さん、ぐれぐれもご用心してください。