老師に言われて坐禅を中止した結果: ビルがそのままビルに見えた
師のアドバイスに従って坐禅を中止したら、思わず「事実」の体験が起こった
2008年5月参禅開始した熱心な修行者Sさんの、3年目の2010年12月に起こった体験です。
以下、原文のママです。「私」=Sさん です。
私:
先日の臘八接心の後、坐禅をしていてもやたら考えばかり出てきて、頭の中がいっぱいになってしまいます。
とても事実に参じるなんて感じではありません。
何か変なことをしてしまったのでしょうか。
どうすればいいでしょうか?
掛川の老師:
(この間、私との質疑応答。内容をほぼ忘れました。1時間以上にわたってびっしりと指導してくださいました。他の参禅者はそのやりとりを黙って聞いておられました。)
私:
もう、老師の言葉を聞いているだけでも、頭がずきずきしてくるんです。これは何なんでしょうか・・・。
他のどなたでも、何かアドバイスありませんでしょうか・・・。
修行中の雲水:
それは私にも経験があるんですが、きっと、事実を自分なりの枠にはめて捉えようとしているんじゃないですか。無意識のうちに。
私:
枠にはめて捉える・・・。
雲水:
事実なんて、そのままでいいはずなのに、それを「ありのままに見よう」とか「正しく見よう」とか、そういった自分の枠というか、あるべき姿に変換して捉えようとしているんです。
だから頭痛がする。
私:
(しばし沈黙)
なるほど・・・。
(またまたいろいろと質疑応答)
掛川の老師:
あなたは苦労するね。
私:
そうかもしれません。(苦笑)
でもやっぱり、頭で考えるのが好きなんですよね・・・。
掛川の老師:
うーん、坐禅をやめたほうがいいかもしれないね。
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がっくりきて、でも言われたとおり、坐禅をやめてみました。
まず翌日の土曜日は一日中ゴロゴロ。
「あなたは苦労するだろうね」
と[老師に]言われたのを思い出しつつ、
あと何年かかるんだろうか、
一生わからないんじゃないだろうかと泣きそうになりながら、
でもどうすることもできず、仏教も坐禅もやめて寝ていました。
そしてその翌日、日曜日には知人のライブがあったので街まで出かけました。
元城町の駐車場に車をとめて、交差点の地下道をくぐって、薄暗い階段を一歩一歩、足の裏の感覚だけで上がり、地上に出ました。
ふと顔を上げると、目の前にビルがあります。(たぶん鴻池ビルだか谷島屋だったか。)
その時に「あれっ」と感じました。
ビルがそのまま、ビルに見える。
いつだって、ビルを見ればこのように見えていたじゃないか。
幼稚園の頃からずっと、ビルを見ればこの感覚だったじゃないか。
仏教とかを知る前から、いつでもこうだったじゃないか。
えっ、えっ、えっ、という感じで、
目を下に向けてみると、
こんどは歩道がちゃんと歩道に見える。
「ええっ、本当か!?」
半信半疑で、しばらく歩いてみました。
信号があります。
赤です。
しばらく待っていると青に変わります。
さらに待っていると、点滅してまた赤に変わります。
「やっぱりそのまんまじゃないか!」
きっとこれだ
と思いつつ、嬉しくて街をうきうき散歩していると、だんだん分かってきました。
事実は全てできあがっている。
事実は全て結果でしかない。
こちらはその出来上がったものを、ただ、いただいておくことしかできない。
こちらが手出しする余地なんてない。
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という体験をされました。
Sさんについては、まだ続きます
続きは、こちら⇒ http://zazen.blog.jp/archives/1063114362.html
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【投稿後記】
Sさんは、井上貫道老師に参禅されている修行者の一人です。
(浜松の老師にも参禅されています)
すでにSさん自身が自分のブログに詳細に体験談を書かれていますが、すでに過去の記事となってしまっており、それを見つけにくいのでここに引用をさせていただきました。
大変真摯な姿勢で修行に取り組んでおられることが分かります。
分からないことはそのままにせずに、老師に質問をし、体験があれば、老師に確認を求めておられます。
そこでお願いです。
Sさんのブログにコメントをして質問されることはご遠慮ください。Sさんに要らぬ負担をかけることになります。
Sさんはまだ修行者の一人です。法の上の質問は、師つまり仏道を体得し終わった人にするのが修行者としてのただしい尋ね方です。ですので、くれぐれもよろしくお願いをします。
ここに記載した・これから掲載する参禅者体験は、1年を経過しているものを選んで投稿しています。
投稿者は、インタビュアーやレポーターではありませんので、その後、その人がどのようにされているかは存じていませんし、その後の修行をインタビューしていません。
上記Sさんのように、個人を知っている人であってもできるだけ個人を特定できないように余分な情報は書かないようにしています。使用した人名のアルファベットは、その人の本名とは全く関係がありません。ZからAまでを逆順に使っていきますので、まずはYさん、Wさん、Uさん、Tさん、Sさんという順番になります。